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「定年」じゃなくて「隠居」

水戸のご老公、皆さんご存じの水戸黄門は、助さん、格さんから「ごいんきょ」とよばれていましたよね?
今現在隠居、という言葉はなじみがありませんね。

戦争直後までは、隠居すると・・・財産も含めて家督者にゆずり、隠居したことを役所に届けて戸籍に記載されていました。

大正生まれのおじいちゃんがいた方は戸籍を取り寄せてみてみると、家督を譲って隠居したことがわかる戸籍に出会うことができるかもしれません。
ただし・・・戸籍は昔々の手書きのものから、印刷文字のもの、そして、コンピュータ処理されるようになってからのものとかいくつもあるので、役所に自分のお父さんが生まれたころまでのものを請求しても 大変な厚みのものが、どーんと出てきます。
さらに、数字も漢数字の旧字体で、くせ字のお役所の職員さんが書いたものなどは、根気が要りますし、根気だけでは無理かもしれません・・・
両親にある程度の、出生地、生年月日を聞いていて知っているからこそ解読できる・・・そんな感じです。
古文書などを解読できる研究者の方はすごいのだなあと、改めて思うのではないでしょうか?
今に置き換えて現実的に考えると、生前に財産全部を息子に譲れば、息子には贈与税が課されますし 譲った財産で死ぬまでの面倒をみてもらおうとすれば、平均余命が80歳代半ばまで延びた現在では、家族に精神的な負担が大きくかかってきます。
現代社会では、長生きするゆえに、認知症という病気の心配が皆さんの頭をよぎるのではないでしょうか?
最近、少しずつ浸透しているのは家族信託というもの。
長男又は信頼のおける家族が親の財産を管理しますがその財産は親が存命中は親のためだけに使われるという性質のもので家督制度があったころの財産を全部もらう代わりに親の面倒をみなければならないというものよりは自由度は高いものかとおもいます。

具体的には、
??お父さん すすむ80歳(委託者・受益者) → 長男 さとし50歳(受託者) 

としておき、家や父名義の預金口座を、長男が管理します。
父が認知症になってしまうと、父の預金口座は凍結されてしまい引き出すことができなくなりますし、家の修繕などをしようとしても、父が名義人ですので、 父は、修繕工事の会社と契約書を交わすことはできなくなります。ほかの家族が変わって契約することもできなります。
そういう事態を未然に防ぐ方法として、家族信託契約を締結します。

長男が、父親の資産を管理しますが、長男の固有の預金口座と一緒にして、長男の資産となるわけではなく、あくまでも、父親が生きている間は、父親の資産、財産であることは変わりありません。
そのため、もし長男が自分の返済ができなくなり、債権者に長男の家等を差し押さえされても、受託者として管理している財産に差し押さえの手が回ることはありません。

契約の方法は自由に決められます。
受託者は二人でも?受託者はどういうことができるの?
受益者はお父さんだけ?
土地名義はどうやら母親と共同名義になっているから両親が委託者になることもできるの?

それぞれの家庭ごとに、それぞれの財産の規模や持ち分などありますので、 契約に自分の気持ち、認知症になったとき、あるいは亡くなった後、どのように財産を使われるたら家族が困らないかを考え、決めておくことができます。

お父さん死亡後
?お父さん死亡(享年85歳) → 長男(55歳)
?お父さん死亡(享年85歳) → お母さんと長男で各二分の一づつ

このような分け方もできますし、引き続き長男が受託者のまま母親が委託者・受益者となるよう 最初の家族信託契約書に定めておくこともできます。

先程、贈与税について、少し触れましたが、 家族信託の場合、受託者である長男には贈与税はかかりません。
あくまでも、親のお金を譲り受けたのではなく 管理者に任命されたということだからです。
続きはまた、近いうちにアップします。
長文をお読みくださりありがとうございました。